「わが子の幸せをたくす」おしゃべり会#
エンディングノート作成にあたっての思い#
エンディングノートを作るにあたり、「いぶき」の保護者の皆さんと、日々の暮らしのこと、わが子への願い、そしてこれから先の未来について、おしゃべりをする機会がありました。
言葉にするのは簡単ではないけれど、だからこそ一緒に考える時間がとても大切だと感じました。それぞれの思いの中には、「今、わが子がどんなふうに暮らしているのか」「これから先、どんなふうに過ごしてほしいのか」――そんな深くて温かな願いが込められていました。
これから先、本人の暮らしを支えるすべての方々に、少しでもこの思いが伝われば幸いです。
1. 一番大切な願いは「わが子が幸せであること」#
何よりも、幸せを願っているということです。ただ、元気でいられること、それだけをずっと考えてきました。
今はもう言葉がないので、笑顔だけが判断の基準でした。笑っているときは幸せなんだって、そう思っていました。だから、これからも、笑顔でいられる環境を大切にしていただけたらと思っています。
2. 意思と尊厳を尊重してほしい#
言葉がなくても、表情や態度でちゃんと気持ちを伝えてくれます。だから、それを汲み取って、できる限り尊重してほしいんです。
例えば、服の色です。赤やピンクが苦手なんですが、もしそれを無理に着せられたら嫌がると思うんです。今は黒い服ばかり着ているので、それを尊重してあげてほしいんです。
あと、やりたいこと、やりたくないこともできるだけ尊重してほしいんです。「これはやりたくない」って態度で示しているときには、無理にやらせるのではなく、ちゃんと気持ちを汲み取ってあげてほしいですね。
3. 将来への不安と環境の継続#
やっぱり、自分たちがいなくなったあとのことですね。慣れ親しんだ環境から急に離れることになったら、大きな不安を感じると思うんです。
「今日からここで生活してください」なんて急に言われても、戸惑うだけだと思いますし、それこそ“地獄”のように感じるかもしれません。だから、今慣れている環境ができる限り続いていくように、支援してもらえたらありがたいです。
例えば、“いぶき”のような場所が、今後も安定して存在し続けてくれることを願っています。ここが急になくなってしまったら、どうすればいいのか…。
4. お金はわが子のために使ってほしい#
支援費などの公的な資金は、すべて生活のためにしっかり使っていただきたいです。必要なサービスがしっかり受けられるようにしたいと思っています。
なるべく無駄に貯めるのではなく、今の生活を少しでも豊かにするために使ってほしいんです。「300万円までは残して、それ以上は使ってください」といった形で、計画的に活用できるといいですね。
5. 大きな決断は、家族との連携を大切に#
普段からよく知っている家族と連携を取って決めてほしいですね。
親がいるうちはもちろんですが、大きな決断になると兄弟にも相談することになると思います。例えば、ベッドやテレビを買うような場合でも、兄弟と話して決めることが多いですね。
親がいなくても、お正月など、家族が集まる機会を継続して持つことで、孤立せずに済むと思います。
6. 特性に合わせた理解と柔軟な支援#
言葉がないので、表情やしぐさから気持ちを汲み取ることがとても大事です。ずっと、笑顔を見て判断してきました。
決まった形にこだわらず、成長や変化に合わせた支援をしてもらえると助かります。
7. 穏やかな日常がいちばんの幸せ#
特別なことではなく、ただ、毎日を穏やかに過ごしてくれることですね。
映画とかじゃなくて、毎日元気で、それだけで十分。それが、一番の幸せだと思っています。
8. 信頼関係と継続的な連携の中で#
これからも安心して、その子らしく生きていけるように願っています。そのためには、支援してくださる方々としっかり信頼関係を築き、継続的に連携を取ることが大事だと思っています。